坐骨神経痛についての解説【2023年版】

目次

坐骨神経痛とは?

「坐骨神経痛」とは、病名ではなく、おしりからつま先にかけての、痛みやしびれの症状のことを言います。

坐骨神経は、坐骨を通りおしりの筋肉“梨状筋”(りじょうきん)を抜け足へ向かう神経です。

坐骨神経は神経の中でも太く、ボールペンくらいサイズがあり、長さも1メートルと最も長いものになっています。

坐骨神経は、膝付近で、総腓骨神経(そうひこつしんけい)と、脛骨神経(けいひこつしんけい)に分かれ腰椎から足の指まで伸びています。

ですので、坐骨神経に問題が生じると、おしりからつま先にかけて痛みが引き起こされるのです。

坐骨神経痛の症状とは?

「坐骨神経痛」の痛みと痺れは、「ズキズキ」感じたり「ビリビリ」「ピリピリ」「チクチク」「ジンジン」などと表現される事が多いです。

痛みの場所は坐骨神経が通っている、おしりから下肢にかけて起こり、片肢に症状が出る場合がほとんどです。

稀に、両肢にあらわれる事もあります。(その場合はかなり重度の坐骨神経痛になります)

坐骨神経痛の主な症状としては、

☑️おしりから下肢にかけて痛みがある
☑️長い時間立っている事が辛い
☑️腰を反らすと下肢に痛みやしびれを感じる事がある
☑️おしりの痛みが強く、座り続ける事が困難
☑️歩くと下肢に痛みが出るため歩けなくなるが、休むと歩く事が出来る
☑️体をかがめると痛みが強くなる

などです。

坐骨神経痛がひどくなると上記以外にも、

☑️尿失禁や頻尿
☑️排尿障害
☑️会陰部がしびれる

などの症状が出ます。

坐骨神経痛が起こる原因と?

坐骨神経痛を引き起こしている原因は様々ですが、ここでは代表的な7つの原因についてご紹介していきます。

腰部脊柱管狭窄症による坐骨神経痛

腰部脊柱管狭窄症は、50歳以上の中高年に多いです。

加齢により脊柱管が狭くなる事で、坐骨神経痛が引き起こされます。

下記のような動作をすることで、

・高いところのものを取る動作
・腰をひねる動作
・背筋を伸ばす動作

痛みが出たり、痛みが強くなります。

逆に、前かがみになると脊柱管が広がるため、自転車の運転や、靴下を履くなどの動作は比較的楽に行えます。

腰椎椎間板ヘルニアによる坐骨神経痛

腰椎椎間板ヘルニアは、20代が最も多く続いて30~40代、次に10代の若い人に多いです。

椎間板がつぶれて飛び出す事で、腰の神経を圧迫して、坐骨神経痛が起こります。

下記のような動作をすることで、

・前かがみ
・あぐらや横座り
・中腰で行う動作
・猫背の姿勢

痛みが出たり、痛みが強くなります。

筋肉の衰えによる坐骨神経痛

筋肉量は20代をピークに減少していきます。

特にお尻の筋肉は早く減少していきます。

おしりの筋肉が衰えると、

・坐骨神経を圧迫する
・坐骨神経に栄養が行きにくくなる。

など、坐骨神経にダメージがでます。

その他の原因による坐骨神経痛

「腰部脊柱管狭窄症」や「腰椎椎間板ヘルニア」以外にも、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や腰椎圧迫骨折、腰椎分離症、脊椎カリエス、腰椎分離すべり症、化膿性脊椎炎、なども坐骨神経痛の原因となる病気だと言われています。

坐骨神経痛の対処法とは?

坐骨神経痛が悪化して、歩くことなどの日常生活が困難になると、運動不足→筋力の低下→下肢のバランスが悪くなる→さらに悪化という「負のサイクル」になってしまいます。

そうならないためにも、坐骨神経痛に対して対処していく必要があります。

病院での坐骨神経痛の対処法①物理療法

・物理療法
・温熱療法
・マッサージ療法
・低周波電気療法
・赤外線やマイクロ波による治療
・骨盤牽引

これらは主に血行を良くし痛みをやわらげる物理療法です。

骨盤牽引は、患部を引っ張る事で椎間板にかかる圧力を弱め、痛みを改善します。

病院での坐骨神経痛の対処法②血行療法

体操やストレッチにより、筋肉の緊張を和らげ血行を良くし、痛みを改善する血行療法です。

徐々に運動の負荷を増やして行く事で、下肢に筋力がつき腰椎への負担が減ります。

手術後のリハビリとしても行われます。

病院での坐骨神経痛の対処法③装具療法

コルセットなどで腰椎を支え、安定させる事で痛みを和らげるのが、装具療法です。

腹圧をあげ腰椎を固定し、良い姿勢を保つ効果があるのですが、長期間使用すると筋力が低下してしまうおそれがあるので、1ヶ月程度を目安に利用します。

病院での坐骨神経痛の対処法④薬物療法

薬物療法は、薬を使って痛みを和らげる治療法です。

薬で疾患を治す事はできませんが、痛みが和らぐ事で気持ちが前向きになったり、活動的になれる事から、筋肉の低下を防ぐ事が期待できます。

病院での坐骨神経痛の対処法⑤ブロック療法

局所麻酔や抗炎症剤を、神経の周りや神経へ直接注入する治療法です。

痛みの伝達物質を一時的に遮断する事で強い痛みが緩和するだけでなく、自律神経の緊張も和らぐため血行が良くなり、体内で作られた痛み物質の排出も促されます。

ストレッチでの坐骨神経痛の対処法

坐骨神経の通り道にある筋肉や関節をストレッチすることで、筋肉に柔軟性を取り戻し、坐骨神経痛を緩和させる対処法です。

お尻の筋肉(梨状筋や臀筋群)や骨盤周りの関節(股関節や仙腸関節)をストレッチすると良いでしょう。

注意点としては、ストレッチのする時の力の加減や方向を正しくしないと、かえって痛めてしまう可能性があるので、ストレッチをおこなう際は気をつけてやりましょう。

治療院(整体院、整骨院、鍼灸院など)での坐骨神経痛対処法

坐骨神経痛への対処は、整体院、整骨院、鍼灸院でもできます。

体の機能を正常に戻すことで、坐骨神経痛を改善していきます。

安静での坐骨神経痛対処法

痛むときに無理をすると悪化したり慢性化したりするので、安静は基本ですが、急性の激しい痛みの時は2~3日患部を冷やしながら休みます。

また、安静時も同じ姿勢や腰に負担のかかる姿勢はやめましょう。

市販の商品(サプリメント、ベルトなど)での坐骨神経痛対処法

市販の腰痛用サプリメントや磁気テープなどは、特に大きな効果は期待できないものの、価格の安さや手軽さで人気です。

関節の痛みやジョイントヘルスに効果があるとされる成分には、コラーゲンやコンドロイチン、ヒアルロン酸、グルコサミンなどがあります。

テープやスプレー、湿布、ジェルなど様々な形状があります。

心理療法での坐骨神経痛対処法

ストレスが原因で、坐骨神経痛になることもあります。

専門家による心理療法やアロマテラピーで坐骨神経痛の不安を取り除いたり、坐骨神経痛の恐怖を克服するための運動、心身ともに緊張を解きリラックスするといった改善する方法もあります。

坐骨神経痛のまとめ

坐骨神経痛は、中高齢者や若いころからの重労働や激しいスポーツをしていた若者にも多いです。

ですが最近は、姿勢、心理的ストレスなどが原因で、激しい運動やスポーツや中高年でなくても、坐骨神経痛になる方も増えています。

症状が軽度であれば、ストレッチなどで対処し、重症であれば、専門家の指導のもと、治療するのが良いです。