腰痛についての解説【2023年版】

目次

腰痛とは?

腰痛は名前の通り、腰の痛みが生じる疾患です。

もともと人間は4本足でした。

進化の過程で前足を両手として使うようになったため、人間は2足歩行をするようになったため腰に大きな負担がかかるようになりました。

それゆえ、腰痛は人間にとって切っても切れないものとなりました。

また日本人が抱える自覚症状で最も多いのが腰痛です。

ですが一口に腰痛と言っても、その種類は多岐にわたり、それぞれに対処法も異なります。

腰痛の症状とは?

腰痛の症状としては、

☑️じっとしていても痛む
☑️背中が曲がってきた
☑️お尻や脚が痛む・しびれる
☑️脚のしびれにより長く歩けない
☑️体を動かしたときだけ腰だけ痛む

などがあります。

腰痛の症状は、文字通り“腰の痛み”ですが、腰痛の原因はさまざまです。

原因に応じて腰の痛みの対処法や治療法も変わっていくので、専門家に相談する時は、自分の腰の痛みをなるべく正確に伝えられる様にしておくと良いでしょう。

ユカリ
腰の痛みを正確に伝える場合は、

いつから?

どんな動作で?

どのように痛むのか?

どこが痛いのか?

をなるべく正確に細かく伝えることができると良いでしょう!

腰痛の原因とは?

腰痛症の原因はさまざまですが、腰痛のうち原因が特定できるものはわずか15%程度といわれています。

代表的なものは、腰椎が直接障害される圧迫骨折や、椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄などがありますが、その他、細菌感染やがん、臓器や血管などの病気が原因となり、腰痛を引き起こすこともあります。

一方、残りの約85%は、レントゲンなどの検査をしても原因が特定できないといわれています。

このような腰痛では、生活習慣、ストレスや不安、不眠など心の状態が影響していることもあります。

原因が特定できる腰痛

腰痛の原因となる病気は、大きく

❶腰椎を直接障害するもの
❷腰椎を障害しないが、臓器の周囲にある神経を刺激するもの

に分けられます。

❶は腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄、背骨の骨折など、腰椎に異常が生じている病気だけでなく、骨への細菌感染やがんの骨転移といった命にかかわる危険な病気も含まれます。

したがって、“たかが腰痛”と考えず、早めに医師に相談して原因を調べることが大切です。

❷は胃潰瘍など消化器系の病気、尿路結石など泌尿器系の病気、子宮筋腫など婦人科系の病気、解離性大動脈瘤など循環器系の病気などがあります。

原因が特定できない腰痛

画像検査などで腰痛の原因がはっきりと特定できない場合は、以下のような影響が関係していることも考えられています。

また、こういった要因が複雑に合わさると、痛みが徐々に慢性化することも多くあります。

☑️身体的影響
☑️長時間同じ姿勢でいる仕事、運動不足、肥満、冷え症など
☑️心理・社会的影響
☑️ストレスの多い職場、家庭内不和、不安、不眠など
☑️神経の障害

慢性の腰痛とは、筋肉の炎症による痛みと神経の痛み(神経障害性疼痛)、また、心理・社会的要因などが複雑に合わさった状態です。

腰痛によって身体を動かさないでいると、それが精神的ストレスとなります。

精神的ストレスが続くと、痛みを抑制する脳のシステムが機能しなくなって神経が過敏になり、さらに腰痛を感じるようになり、ますます身体を動かさなくなってしまいます。これが腰痛の悪循環です。

また、痛みのことばかり考えていたりすることも、ストレスとなり慢性化の原因となります。

腰痛の種類

ぎっくり腰

椎間板などの腰の組織のケガであり、医療機関では腰椎捻挫(ようついねんざ)または、腰部挫傷(ようぶざしょう)と診断されます。

椎間板ヘルニア

椎間板が突出あるいは脱出し、座骨神経の始まる部分である腰の神経(主に神経根)が刺激されることにより症状が生じる疾患です。若年~中年層で起こる頻度が高くなっています。

腰部脊柱管狭窄症

腰骨(腰椎)が年齢とともに変化し、腰の神経(神経根および馬尾(ばび))が圧迫されることで起こります。

歩いている途中で一次的に歩けなくなるといった間欠跛行(かんけつはこう)などが代表的な症状です。

そのほかに、原因が特定できない腰痛(非特異的腰痛)もあります。

炎症性腰背部痛

腰痛の中には、炎症が原因となっているものがあります。

結核菌を含む細菌による背骨の感染による腰痛(感染性脊椎炎)もありますが、そのほかに、長引く腰痛の原因の一つとして強直性脊椎炎があります。

その他の腰痛

上記以外の他に原因が特定できない腰痛(非特異的腰痛)もあります。

腰痛の対処法

薬物療法

痛みの治療を行う際に、最も一般的に実施される治療は、薬剤を用いる「薬物療法」です。
薬物療法に用いる主な薬剤には、非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)、神経障害性疼痛治療薬、オピオイド、鎮痛補助薬、ステロイド、麻酔薬などがあります。

薬物療法では、さまざまな薬剤を病態や症状に合わせて、使い分けています。

神経ブロック療法

神経ブロック療法とは、神経や神経の周辺に局所麻酔薬を注射して、痛みをなくす方法です。

麻酔薬が神経に作用し、痛みの伝わる経路をブロックすることで、痛みを取り除きます。

痛みが緩和されることで血流がよくなり、筋肉のこわばりもなくなります。

一回で痛みが完治するものではなく、薬物療法と併せて複数回実施するのが一般的です。

神経ブロック療法には、いくつか種類があり、痛みの種類や症状により使い分けます。

理学療法

痛みが強いときは動きたくないものですが、痛みのために長期間身体を動かさないでいると、筋肉が痩せてきたり、関節が固くなったりすることがあります。

理学療法の目的は痛みをとるだけではなく、このような痛みに伴う症状をやわらげ、日常生活でのQOLを維持することにあります。

理学療法には主に次のようなものがあり、リハビリテーション科の医師や理学療法士などの指導のもと、症状を見ながら、いくつかの療法を組み合わせて進められます。

運動療法

筋力増強訓練やストレッチなどにより、筋肉の緊張をほぐして血流を改善したり、痛みの原因となる物質の除去を促します。

また、身体機能を向上させることで、日常生活における活動性の改善をはかります。

温熱療法

組織を温めて血管を広げ、痛みの原因となる物質の除去を促します。

電気刺激療法

低周波の電気刺激により、痛みを伝える神経の働きを抑えます。

認知行動療法・リエゾン療法

認知行動療法とは、痛みについての誤った認識を修正する「認知療法」と、痛みと行動の関係を知り、日常生活でできることを増やしていく「行動療法」を組み合わせた治療法です。

リエゾン療法とは、整形外科や心療内科・精神科など、複数の医師が連携(リエゾン)して治療にあたり、心と体の両面から治療を行う方法で、薬物療法や運動療法と認知行動療法などを併せて行います。

腰痛のまとめ

腰痛は誰にでも起こる疾患です。

また原因も様々で、筋肉疲労や内臓疲労、精神的な疲労も腰痛の原因になります。

症状が軽度であれば、ストレッチなどで対処し、重症であれば、専門家の指導のもと、治療するのが良いです。