ジャンパー膝(膝蓋腱炎)についての解説【2023年版】

目次

ジャンパー膝ってどんな症状?

ジャンパー膝とはバレーボールやバスケットボールなどでジャンプや着地動作を頻繁に行ったり、サッカーのキック動作やダッシュなどの走る動作を繰り返したりするスポーツに多くみられる、オーバーユース(使いすぎ)に起因する膝のスポーツ障害です。

ジャンパー膝に見られる主な症状は多くの場合、膝の前側に押されるような鈍痛が起こります。

そして、膝の周囲が炎症をおこし、熱を持ってきます。

初期は膝の下に違和感を感じる程度ですが、そのうち運動時に走ったりジャンプしたときに痛みを感じるようになってきます。

好発年齢は12〜20歳ですが、特に10代のスポーツ男性に多いようです。

ジャンパー膝は膝のお皿の上、または膝のお皿の下に痛みや熱感を出ます。

また、症状によって重症度が下記のように分類されています。

Phase1 スポーツ活動後のみに痛みが出る、スポーツ活動に支障なし

Phase2 スポーツ活動中や活動後に痛みが出る、スポーツ活動に支障なし

Phase3 日常生活でも痛みが出る、スポーツ活動に支障をきたす

Phase4 膝蓋腱の完全断裂

ほとんどはPhase2くらいまでで経過し、セルフケアやスポーツを休むことで改善される場合が多いようです。
Phase3までいくと病院に受診する方が多くなります。

ジャンパー膝の原因

ジャンパー膝はジャンプやランニングを繰り返すことによって、太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が疲労し、硬くなることが原因と言われています。

太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)が硬くなると膝蓋靭帯(ひざのお皿の下の部分)も上方向へ引っ張られ、お皿(膝蓋骨)の部分で摩擦が起きやすくなります。

太ももの前の筋肉(大腿四頭筋)は人体の中でも、とても大きくて太く強い筋肉です。

なので頻繁で激しい膝の曲げ伸ばしにより膝蓋腱に強い負担がかかってしまうのです。

また重症になると、膝蓋骨(膝の皿)の下端がはがれる「剥離骨折」が起きる場合もあります。

ジャンパー膝はオーバーユースと呼ばれる膝の使いすぎが原因です。

これはスポーツ障害の代表的な原因とされています。

または成長期の骨の急激な成長に筋肉が追い付かず引き伸ばされて膝の柔軟性、衝撃力吸収が低下し膝蓋腱が炎症を起こす場合もあります。

バレーボール、バスケットボールなどの激しいジャンプをする競技や、サッカーなどのキック動作をする競技、陸上競技やバドミントンなどの頻繁にダッシュを行う競技で発症しやすいと言われています。

姿勢の悪さもジャンパー膝の原因に?

ジャンパー膝になるもう一つの原因は、姿勢の乱れによる体の使い方が悪い場合です。

例えばスクワットをする際に、膝を曲げたときに膝が前に出過ぎるように屈伸をするとダイレクトに膝に負担がかかってしまいます。

そうならないためにスクワットをするときは膝を曲げた時に膝が足の指先より前に出ないように、なおかつお尻を後方に出すイメージでやります。

こうすることによりお尻と太ももの筋肉をフルに活用することができるので膝関節に負担がかかりません。

日頃から猫背の癖があったり姿勢が乱れて体の使い方が悪い人は、スポーツをやってもその癖がプレー中にどうしても出てしまいます。

すると上記のように膝の負担をお尻や太ももでカバーできなくなるのでジャンパー膝になるリスクが上がります。

ジャンパー膝に類似した疾患①オスグッド病

主に10〜15歳の男子に起こる脛骨結節部の骨化障害です。

ジャンパー膝に類似した疾患②ガ足炎(膝の内側部分の痛み)

膝の内側部分の痛みを『ガ足炎』といいます。

脚部に、たえず強い力がかかったときに起こりがちです。

ジャンパー膝に類似した疾患③大腿四頭筋拘縮症

太ももの筋肉硬直によるひざの痛み。

うつ伏せの状態から膝を曲げていくと段々とお尻が浮かんでしまうのが特徴。

重症化すると歩行困難と伴う場合があり、筋膜・靭帯・障害されている筋肉を切る筋切離術(きんせつりじゅつ)が整形外科医によって行われるのが一般的です。

ジャンパー膝のPhase別対処法

ジャンパー膝は原因が何であれ、上述したように腱の付着部に微細損傷が起こって炎症を起こしている状態です。

それ以上の負担をかけないようにすることはもちろん、炎症を治める対処方法も必要です。

ここではまずphaseごとの対処法と日頃行える予防策についてお話していきたいと思います。

ジャンパー膝対処法:Phase1

炎症は軽度のものも多く、活動後のアイシングやストレッチなどで炎症が拡がるのを抑えたりコンディションを整えて負担が増えないようにします。

運動後に疼痛が生じる場合は、太ももの前面(大腿四頭筋)のストレッチと練習後に痛みがある場所をアイシングをしていきます。

ジャンパー膝対処法:Phase2

炎症が進んでいるのでジャンプ、ランイングといった膝に負担がかかる動作を避けるようにしましょう。

ここでは運動療法も行っていきます。膝と股関節を中心とした下肢の運動療法をしつつ局所のアイシングをしていきます。

ジャンパー膝対処法:Phase3

日常生活での痛みが消失するまでス ポーツ活動は休止するようにしましょう。

休止している間は下半身以外の筋力のアンバランスなどを整えたり全体の柔軟性を高めることで復帰後の再発を予防します。

ジャンパー膝対処法:Phase4

絶対安静が必要です。断裂している場合では縫合手術が必要になってきます。

日頃から行えるジャンパー膝の予防法

太ももの前の筋肉を柔らかくすることが一般的予防策になりますので、ストレッチが一番の予防法になります。

しかし、ストレッチをしていてもなかなか治らない方がいることを覚えておいてください。

なぜかというと、痛みがあるときに無理してストレッチをつづけると筋肉が抵抗をして余計に硬くなってしまう現象が起きてしまうからです。

まずは1週間続けてみてとくに症状が悪化していない場合は続けていきましょう。

ここでは一番重要とされている大腿四頭筋の筋肉をはじめ太ももまわり全体のストレッチ方法を教えていきます。

なぜかというとバランスよく全体的に伸ばして行く方が効果が期待できるからです。

ジャンパー膝の予防法①大腿四頭筋(太もも前面)のストレッチ

人体で一番太い筋肉です。ここが硬くなると骨盤を前下方に引っ張ってしまいます。

あまりに硬すぎると反り腰になる原因となります。

①地面に手を付きながら両足を伸ばして座ります

②伸ばしたい方の足の踵を同じ足のお尻にくっつけるように膝を曲げていきます。

③この状態をキープします。

硬い人は体を起こした上体でもキツく感じるかもしれません。

大丈夫な人はそのまま手を離して背中を地面にゆっくり近づけていきましょう。

ジャンパー膝の予防法②内転筋(太もも内側)のストレッチ

内転筋にはとても多くの種類の筋肉が集まって構成されており開脚をするときによく伸ばされる筋肉でもあります。

ここの筋肉が硬くなると骨盤が後ろに倒れていき猫背になりやすくなったりします。

もし開脚したときに足が80°も開かない場合は相当硬くなっている証拠なのでぜひ日数をかけて100°くらいまでは開くようにストレッチしていきたいです。

①右手は脚をスライドさせるように、左腕は左耳の横にくるように伸ばし、右脚のつま先をめがけて倒れる。(左脚が曲がらないように注意する)

②左の時は右手を左のつま先まで持ってくる。

③左右行ったら両手を自分の前に着き、骨盤からしっかり前に倒れる。

注意点としては腰をしっかり立て、膝を曲げたり内側に入らない、背筋を伸ばすように行いましょう。

ジャンパー膝の予防法③大殿筋(お尻の筋肉)のストレッチ

前述した通りお尻の筋肉は立ったり歩いたりする動作に非常に関連している筋肉です。

ここが硬くなると歩幅が小さくなったり立位時に疲れやすくなります。

あとは筋肉が神経を圧迫して坐骨神経痛になる要因にもなるのでぜひストレッチしていきたいです。

①膝を立てて、両手を後ろに置きます。

②右脚(伸ばしたい方)を左腿の上に載せます。息を吐きながら胸を腿に近づけます。

③そのまま30~40秒ほど伸ばしていきます。

ジャンパー膝の予防法④大腿二頭筋(太もも後面、別名ハムストリング)のストレッチ

大人になると運動をする機会が少なくなるので、いざ前屈をやろうとしてももも裏の筋肉がつっぱって「イターッ」となってしまう人が多いと思います。

このもも裏の筋肉は大腿二頭筋と言って硬くなると座っているときに骨盤が後ろに倒れやすくなったりしてキレイな姿勢が保持しにくくなります。

あとは腰椎と仙骨の連結部分に負荷がかかるようになってしまい、慢性腰痛の原因になりやすくなるのでしっかり伸ばしていきましょう。

前屈をやっていただければ問題ありません。

大腿30~40秒やっていきましょう。

注意点としては、背中を丸めないで骨盤から前に倒していくイメージでやりましょう。

あまりにももも裏が痛い場合はつま先を伸ばしながらやると坐骨神経が緩み多少痛みが和らぎやりやすくなります。

ジャンパー膝の予防法⑤大腿筋膜張筋(太もも外側)のストレッチ

大腿筋膜張筋は桃の外側にある筋肉で、その役割は歩行時にブレずに足を真っ直ぐにするサポートや骨盤の安定、スポーツでは左右の切り返しの動作などになります。

あとはランナー膝とよばれる症状があり別名「長脛靭帯炎」とも言います。

ランナー膝はジョギングやランニングによって発症しやすい膝の障害の代表格なのですが、この大腿筋膜張筋が硬くなると発症するリスクが高まると言われています。

スポーツをやっていたり走ることが好きな人はぜひ、この筋肉をケアしてあげましょう。

①体が十字になるように地面に寝転がります。

②その状態から伸ばしたい方の足を伸ばしたまま、反対側にクロスさせます。

③そのまま30~40秒ほどストレッチしていきます。これを左右やっていきましょう。

ジャンパー膝の予防法⑥下半身のマッサージ

上記にもあるようにストレッチで効果が得られなかった、または悪化してしまった場合はこちらを試してみましょう。

マッサージするのは大腿四頭筋(太ももの前面)です。

お皿周り(膝蓋骨)に痛みがあるときは大腿四頭筋の上部から中部までにしておきましょう。

①手のひらで膝上から大腿四頭筋が付着する骨盤のでっぱりの骨の部分までゆっくり摩ります。

②大腿四頭筋を手のひらで上から軽く圧迫してからゆっくり離していくようにマッサージします。

③肩を揉むように大腿四頭筋を横から両手で挟みあげるようにマッサージします。

ジャンパー膝の予防法⑦アイシング

激しく足の筋肉を使った際の炎症を抑えることにより症状の悪化を防ぐことができます。

タオルで包んだ保冷剤を患部に20分ほど腕に巻いてしっかりアイシングしていきましょう。

ジャンパー膝の予防法⑧姿勢

体にとって望ましくない動きと言われて、ピンとこないかもしれませんが、例えば普段の歩き方や姿勢をチェックしてみてください。

ジャンパー膝の人の多くは、背中が丸くなり、お尻が下がってしまうような姿勢をしているのが特徴です。

こうした、 生活習慣、姿勢、普段の動き方が練習以外の時でも筋肉に負荷を与え続けているのです。

ジャンパー膝の予防法⑨休ませる

痛みがあり炎症を起こしている場合は基本的に休ませることが早期改善につながります。

しかし、中学生や高校生の場合、部活動では「ここで休んでしまうと試合に影響してしまう」「チームメイトにサボりと思われるのが嫌だ」「レギュラーを取るために今ここで休むわけには」という心理が働いてしまい、どうしても休むことに抵抗感がある場合があります。

しかし、そこで無理してしまってはジャンパー膝を悪化させて、治癒が遅くなるばかりではなく日常生活にも支障が出る危険性もあります。

必ず勇気を出して休みましょう。場合によっては保護者の方が監督に説明してあげるのもいいでしょう。

まとめ

ジャンパー膝の改善方法はたくさんあります。

どれをどう選べば確実にジャンパー膝が改善するのか?

それは、ジャンパー膝の原因から施術しなければいけません。

ジャンパーの原因は人によって違います。

股関節が原因の人もいれば、首が原因の人もいます。

当院ではジャンパー膝の根本的な原因を突き止めて、確実に改善していきます。

ジャンパー膝