手、腕の痺れについての解説【2023年版】

目次

手や腕の痺れは、なぜ起きるのか?

ジンジン・ビリビリとした痺れを、手や腕、指に感じることはありませんか?

痺れとは、何らかの原因で血管内の血流が滞り、中枢神経・末梢神経に障害が起こることで、
・力が入らない
・異常な感覚が続く
などの現象が起こった状態のことを言います。

手は頻繁に使用する部位だからこそ、しびれると気になりますし、「もしかして何かの病気かも…」と不安になりますよね。

今回は、しびれの原因と予防方法について、お伝えしたと思います。

手や腕の痺れの原因

血行障害

血管内の血流が悪くなり、老廃物が貯まりやすい状態です。

この状態でいると痺れやすくなるので、注意が必要です。

肩こり・首こり

スマートフォンを見るために頭部が肩より前に突き出て首の骨がまっすぐになる「ストレートネック」(スマホ首)やデスクワークなどによる猫背で、慢性的に肩や首がこっている人は多いのではないでしょうか?

こりを放置すると、筋肉の緊張状態が慢性化するだけでなく、脊椎の首の部分の頸椎(けいつい)が変形し、神経が圧迫され、その結果腕や手のしびれを引き起こすことがあります。

そのため、座りっぱなしや前屈みの姿勢など、体に負荷がかかり血行が悪くなるような体勢を長時間とらないよう注意しましょう。

なお、肩こり・首こりは、首が長く、なで肩の人に多く見られるようです。

また、中・高齢者は、頚椎や胸椎、肩の関節の可動域が狭まったり、周囲の筋力が低下したりすることなどによって肩がこりやすくなることもあります。

頚椎脊柱管狭窄症

加齢に伴う椎間板の変性により頚椎に劣化・膨隆・突出、黄色靭帯の肥厚がみられ、それにより脊髄や神経根が脊柱管を狭窄し、神経の血流が低下し神経障害を起こしたことによりしびれや感覚障害が生じます。

狭搾の程度や場所により、首の痛みや腕や手のしびれ・腕や手の脱力感・握力低下・手指の細かな動作ができない・首や肩の周りの筋肉が凝りやすいなどの症状があらわれます。

頚椎椎間板ヘルニア(椎間板障害)

首の背骨と背骨の間にある椎間板が神経を圧迫することでしびれが生じます。

通常、首の痛みに加え、腕に強い痺れが出て、首を反らしたときに、痺れが強くなる傾向にあります。

また、夕方やよりも、朝(睡眠後)に症状が強く出てくる事も多いです。

首を上下に振る(うなずくような動作)を長期間繰り返したり、スポーツなどで椎間板に負担が掛かることなどにより生じやすくなります。

変形性頚椎症

頚椎が変形し、神経が出てくる穴が狭くなったために、手や腕にしびれが出てくる状態です。

手や腕に「電気が走るような鋭い痺れ」が出てきます。特に首を反らした時にしびれが強く出るため、男性の場合はひげ剃り・女性の場合は高いところにあるものを取るときなどに見上げた際に感じるようになります。

神経に沿ってのしびれで、神経を圧迫しているために、感覚の左右差や、服のボタンを上手く閉じれられないなど、細かい運動が行いにくくなります。

不良姿勢による長時間の首への負担や首を鳴らすクセ・交通事故による首の不安定感などにより首の骨が変形し、症状が出てきます。変形には長期間かかるため、40歳代以降に症状が出てくることがほとんどです。

椎間関節症候群

首の背骨と背骨の間にある関節に問題があり、そのために首に痛みが出てくる状態です。

時折、手や腕に痺れを感じます。

通常、同一姿勢を続けた後あるいはその最中に首の鈍い痛み、あるいは首を動かしたときなどにズキっとした痛みを感じます。

時折、手や腕に「鈍い痺れ」が出てきます。

一般的には、神経に沿ってのしびれですが、神経を圧迫していないために感覚の左右差などがあまりありません。

長時間の不良姿勢や運転による首への負担などが原因で、関節が硬くなったり、働かなくなることによって起こることが多いです。

手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん・正中神経の障害)

「手根管症候群」とは、末梢神経障害の中で最も多い病気で、手の親指から薬指の内側にかけて走る正中神経に障害が起きて、しびれや痛みなどを感じる疾患です。

主に指先に痺れが出てきます。

この時、小指と薬指の外側半分にしびれは見られません。

妊娠・出産期や更年期の女性が発症しやすく、一般的に特発性で原因不明であることが多いです。

また、仕事やスポーツなどで手を酷使している、骨折している、腫瘍・腫瘤などのできものが神経を圧迫している、などが原因で起きる場合もあります。

手根管症候群の特徴として、夜中や明け方の時間帯、自転車や車の運転中に痛みが強くなることが多く、手を振るとしびれが和らぎやすいことが知られています。

両手首を直角に曲げて、手の甲同士をくっつけた状態を1分間続けてみましょう。

その間にしびれが強くなれば、手根管症候群の可能性が高いです。

また、病気が進行すると親指の付け根の筋肉が痩せるという特徴もあります。

肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん・尺骨神経の障害)

「肘部管症候群」は、手の薬指の外側から小指にかけて走る尺骨神経(しゃっこつしんけい)に障害が起きて、しびれや痛みなどを感じる疾患です。

手の小指と薬指の外側半分にしびれを感じます。

その他、親指の動きが上手くできなかったりすることもあります。

手根管症候群同様、仕事やスポーツ(特に野球や柔道)などで手を酷使したり、神経を固定している靭帯や腫瘍・腫瘤が神経を圧迫したりすることで発生しやすくなります。

また、子どもの頃の骨折や、加齢などによる肘の変形で発生することもあります。

肘の内側を叩くと、小指にかけて広がるようにしびれや痛みを感じるのが特徴です。

胸郭出口症候群(きょうかくでぐちしょうこうぐん)

肩周りから二の腕あたりを通る腕にいく神経「腕神経叢」(わんしんけいそう)が圧迫されてしびれが生じるときは、「胸郭出口症候群」の可能性があります。

なで肩の女性に多く、つり革に掴まるときや洗濯物を干すときなど、腕を挙げる動作をしたときに、腕や肩甲骨周辺を中心に手の甲までしびれを感じます。

ギオン管症候群

手首より先で、骨と骨の間で神経が圧迫された状態で、手の小指と薬指の外側半分にしびれを感じます。

その他、親指の動きが上手くできなかったりすることもあります。

手首を曲げる動作を繰り返したために、手首が不安定になり、症状が出てきます。

赤ちゃんを抱っこする機会の多い家庭のご両親や、手首を曲げるという点で、料理人でもよくみられます。

さらに、転倒時、地面に手首を着いてからおかしいなど、手首付近の怪我をきっかけに出ることもあります。

円回内筋症候群

肘より少し手首側の筋肉の緊張が原因で、神経が圧迫されその結果しびれなどが出てきます。

手首より下、手のひらや指先にしびれがでてきます。この時、小指と薬指の外側半分にしびれは見られません。

手首をよく使う方によく見られ、とくに手首を返すような職業の、料理人などによく見られます。

その他、長時間ハンドバッグを肘に掛けても一時的な症状が出てきます。

その他の病気

糖尿病

糖尿病をきちんと治療しないと、高血糖により末梢神経に障害が起こり、手にしびれや痛み、麻痺が生じることがあります。

一般的に、左右対称に症状が現れるので、両手がしびれる場合は糖尿病の可能性もあります。

脳卒中(脳梗塞、脳出血など)

手のしびれの他に、頭痛やめまい・意識障害・ろれつが回らない・吐き気がする・物が二重に見える・体の半分が麻痺するなどの症状をともなう場合は脳卒中の可能性があります。

脳の病気は、発作が起きてから治療を開始するまでのスピードが重要です。

早急に専門病院を受診しましょう。

手のしびれを予防する方法

固定して安静にする

手のしびれを和らげるうえで最も大事なことは、患部を安静にすることです。

必要に応じてサポーターやコルセットを活用して、手首を激しく動かす運動や曲げ伸ばしの動作はなるべく避けましょう。

ストレッチや適度な運動を行う

血行不良が肩こりや首こりを生じさせ、結果として手のしびれを引き起こすことがあります。

体を動かすことにより全身の血行を改善するので、ストレッチや散歩など適度な運動を日ごろから心がけましょう。

患部を温めたり揉んだりする

しびれや痛みが強くないときは、患部を温めたり揉んだりすることで血行を促進すると症状が和らぐことがあります。

ただし、神経が麻痺している場合は熱さに鈍くなっているので、カイロ等で温める際は低温やけどにくれぐれも注意しましょう。

姿勢を正す

筋肉の緊張やこりを予防し血行をよくするために、正しい姿勢でいることは大切です。

特に手の神経は首からつながっているので、スマホ首や猫背などにならないよう気をつけましょう。

スマートフォンを使用する際は目の高さに持つことで首への負担を軽減できます。

パソコンについてもなるべく画面が正面にくるデスクトップがおすすめです。

ノートパソコンの場合は、外付けのキーボードを設置し、台などの上にパソコンを置いて目線の高さを上げるなどの工夫ができます。

バランスのとれた食事で予防する

日頃から栄養バランスが整った食事をすることも大切です。

例えば、ビタミンB1をはじめとするビタミンB群は、神経の機能に関わるビタミンです。

また、ビタミンEは、血液循環に関与するビタミンとして知られています。

ビタミンB1

ビタミンB1は、糖質の代謝に影響するビタミンですが、神経の働きにも関与しているので、神経の機能を正常に保つため、不足しないようにすることが大切です。

豚肉、うなぎ、玄米、大豆などに多く含まれています。

ビタミンB6

ビタミンB6は、神経伝達物質のアセチルコリンや、タンパク質・脂質・炭水化物の三大栄養素の代謝を補助する酵素として、また、ホルモン調節因子としても働きます。

バナナやイモ類、赤身の魚などに多く含まれており、不足すると末梢神経の障害や肌荒れなどを引き起こします。

ビタミンB12

ビタミンB12は神経や血液細胞を健康に保ち、DNAの合成を助ける栄養素です。

不足すると、神経障害や感覚異常の他、記憶障害、うつ病、慢性疲労、運動時の動悸や息切れなどを引き起こすこともあります。

のりや貝類、魚類など、海の幸に多く含まれています。

市販薬を取り入れる

また、手のしびれに対する効能がある市販の内服薬もありますので、利用するのも1つの方法です。

末梢神経の修復に関与する「メコバラミン」と「葉酸」

メコバラミンは、活性型ビタミンB12の一種で、体内に入るとすぐに働ける状態になるため、食事などで摂取できる天然のビタミンB12に比べて効果を発揮しやすい医薬品の成分です。

また、同じビタミンB群の一種で細胞の生産・再生に関与する「葉酸」と協力し、末梢神経の修復に影響を与えることも知られています。

血液循環に関わる「ビタミンE」

ビタミンEには毛細血管を広げる効果があり、体の血液循環をよくする働きがあることで知られています。

血のめぐりがよくなると筋肉の活動に必要な栄養分や新鮮な酸素が運ばれやすくなるので、疲労回復にも効果的で、手のしびれ改善にもつながります。

これらの成分を参考に、ドラッグストアなどで店頭の薬剤師や登録販売者に相談するとよいでしょう。

外用薬

湿布などの貼り薬や塗り薬には、炎症をしずめ、痛みをやわらげる効果があるので、必要に応じて活用するのも良いでしょう。

ストレスを溜め込まない

悩みごとや心配ごとをはじめ、精神的にネガティブな状態でいるとしびれは悪化しやすいと言われています。

趣味に打ち込む時間を積極的に作ったり、しっかり休息や睡眠ををとるなどしてストレスを溜め込まずに発散できる工夫をしましょう。

手のしびれのまとめ

手のしびれにも一時的なものから慢性的なものまで、その対処法も様々です。

辛いしびれが続いたりセルフケアでは改善が見られない場合には、早めに専門家に相談しましょう。

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手や腕の痺れの質問と回答